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◆◆ 歯医者さんの繁盛便り《今月の“歯っ”とするお話》
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2018/01/9発行 Vol.76
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○歯周病と認知症の関係に関する研究結果
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あけましておめでとうございます。
何とぞ本年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて昨年11月、イギリスの科学誌“npj Aging and Mechanisms of Disease
(エイジングと疾病メカニズム)”の電子版に、歯周病によって脳内にも炎症
が波及し、アルツハイマー病の原因分子の脳内レベルが上昇するため、認知
症を増悪させるといった内容の研究発表が掲載されました。
この研究は名古屋市立大学大学院医学研究科の道川誠教授と国立研究開発法
人国立長寿医療研究センターの松下健二部長を中心に、松本歯科大学、愛知
学院大学、名古屋大学と共同で行ったもので、アルツハイマー病の原因分子
であるアミロイドβタンパク質の元になるタンパク質・APPを過剰に発現させ
るマウス(アルツハイマー病モデルマウス)に歯周病菌を感染させ、歯周病を
発症させたマウスと対照マウスを3か月飼育し、両者の脳内に生じるアミロイ
ドβの蓄積ならびに脳内レベルを定量。それと並行して学習行動試験により
認知機能の評価を行った結果、歯周病マウスでは対照群に比べて脳内アミロ
イドβタンパク質レベルが著明に上昇し、脳内炎症分子(サイトカイン)の上
昇が認められ、記憶学習能力の低下が見られたとのこと。
これまで歯周病は、認知症の危険因子・増悪因子であるという疫学研究成果
はあったものの、歯周病と認知症の因果関係を分子レベルで明らかにした研
究は世界ではじめてのことで、今後、歯周病の治療や口腔ケアによってアル
ツハイマー病の発症予防や症状の進行抑制に役立つことが期待されています。
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◆ 今月のヒント
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認知症をモチーフとした映画のなかで、よく知られているのが2014年に公開
された(日本では翌15年)『アリスのままで』。自身も筋委縮性側索硬化症
(ALS)を患ったリチャード・グラツァーが、ワッシュ・ウェストモアランド
のサポートを得て監督を務めた作品です。
あらすじを簡単にご紹介すると、50歳の言語学者アリスは、大学での講義中
に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからな
くなったりといった異変を覚えるようになる。やがて若年性アルツハイマー
病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れてい
く。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し
・・・といったもので、主演のジュリアン・ムーアはこの作品での演技が評
価され、第87回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。
邦画でも、若年性アルツハイマー病と診断された夫を渡辺謙が、夫を支える
妻を樋口可南子が演じた『明日の記憶』も話題となりました。
映画をモチーフに、歯周病とも関連の深い認知症を語るというのもひとつの
情報発信の方法。ぜひ、ご参考にしてみてください。
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○ひと口ギャグ
「映画はいいな」
「そうそう、映画はええがな」
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